牡牛座 2012/2/20-2/26の空模様。

旅人が疲れた様子で民家の扉を叩き、
「ここに一晩、泊めて下さい」と頼んだとき
民家に住んでいた夫婦は顔を見合わせて
それからもう一度、旅人の顔を見つめます。
こんな突然の客を、怪しむのはアタリマエです。
それは三人とも、了解しています。


「わかりました、泊めてあげましょう」
と言うのは、ひとつの賭けです。
この旅人が盗賊の手先であったり
何らかの悪意を持っていたりする可能性は大いにあります。
その一方で、本当に困り尽くして弱り切った「いい人」である可能性もあります。
だからといって、あとでお金を払ってくれたり、
恩を返してくれたりするということは
およそ、期待はできません。


こんなとき、「泊めてあげよう」という決断をするのは
どういう理由かな、と思うのです。
リスクをゼロにしたいなら、門前払いすればいい話です。
相手がどんな人間に見えようと、悪党である可能性をゼロにできない以上、
泊めるのは危険です。
あえてそこで「泊めよう」という判断をするのはもちろん、
「困っている人を助けたい」という「善意」「良心」もあるでしょう。
でもそれ以上に、そこにはたぶん
「何となくこの人が好きだ」
という、好悪の感情が働いているのではないかと思います。


旅人は実は神様であって、
門前払いを喰わした人には不運を、招き入れた人には幸運を授ける
というお話もあります。
ですが私たちは、
自分が生きている物語を結末からたどることは、できません。
悪意を持った人ほど魅力的に見える、というのも、世の常です。
それでも、私たちはなにかを「好きだ」と感じ、
好きになったものを無償でやしなおうとすることがあります。
今週、貴方はそんな動きの中にあるのではないかと思います。
損得の計算や未来の見通しよりも
「好きになれるかどうか」のほうが
もしかすると、頼りになる判断基準なのかもしれません。